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フランス人と食事を楽しむには(1)― 到着から退出まで -

「フランス人と食事を楽しむには」は3年前に発表しました。
今書いているメールマガジン「日仏マナーのずれ」と重複
する箇所はいろいろありますが、視点が異なるので、これも
ご参考になればしあわせです。項目によって「日仏マナー
のずれ」の方が詳しいつもりです。


目次

前書                      
1. 出席                
2. 手土産               
3. ノック              
4. コート             
5. 帽子              
6. 公的な晩さん会では            
7. 玄関              
8. 会場に着いて          
9. あいさつ時の起立        
10.紹介               
11.握手             
12.握手と会釈          
13.名刺              
14.失礼な態度           
15.口臭               
16.話題              
17.音                    
18.女性に聞けること       
19.正客の席           
20.席順               
21.椅子                   
22.食べ始めるのは誰      
23.ナプキン            
24.中座              
25.食事中                  
26.ナイフとフォーク         
27.ナイフを落とした         
28.ぶどう酒             
29.スープを「食べる」         
30.スープ皿              
31.ソース                  
32.焼肉             
33.生かきとムール貝          
34.魚を食べる          
35.ナイフとフォークの置き方        
36.グラス             
37.水               
38.乾杯               
39.下戸はどうする         
40.粗相               
41.煙草                
42.鼻かみ              
43.咳                
44.不快な生理現象           
45.化粧直し              
46.爪楊枝              
47.食後のナプキン              
48.食事の終了          
49.シェフ                  
50.ハンドバッグ              
51.ジーパン                
52.菓子                  
53.ご印象は                
54.失言                  
55.帰る頃合い               
56.タクシー                
57.出会い                 
58.朝食                  
59.料理を選ぶには             
60.メニューを読む             
61.判りにくい料理名            
後書                     


前書

 テーブルマナーと言えば、堅苦しいもの、と思われがちです。レストランでウエイターが見ているのを窮屈に感じる人も少なくないでしょう。ウエイターの仕事は、お客が不自由なく、楽しく食事できるように支援するのが仕事であるのに。一般の動物にとって、食事は生命を維持するのが唯一の目的でしょうが、人間はそれだけに満足できず、味を楽しみ、香りをめで、目で喜び、雰囲気を大事にします。食文化は人間にとって重要な文化です。

 テーブルマナーは万国共通ではありません。外国に行って、食事に誘われると、思いがけない経験をするはずです。中国のように、ホストがお客に料理を次々によそったり、いろいろな名目でたびたび乾杯するところがあるかと思えば、食後に大きくげっぷするのが良いとされる所もあります。しかし、どの場合にも食事を楽しむことに変わりはありません。パーティで窮屈な思いをし、くたびれて帰るようでは、そのパーティは失敗だと言っても良いでしょう。

 欧米式のしきたりが一般的に知られていなかった頃のことですが、中近東のある高官が、果物を食べた後、指先をすすぐために出されるフィンガーボールの水を飲んだことがあります。皆はその人にけいべつの眼を投げたでしょうか。いいえ。ホストがすかさず同じようにフィンガーボールの水を飲みました。お客に恥をかかせるのはホストにとって大きな恥だからです。もっとも、誰も恥ずかしい思いをしたくないので、欧米のマナーの指針とも言えるフランスの習慣をクイズ形式で考えながら、なぜそうするのかを見ることにしましょう。結構合理的です。その後で、料理を選ぶ上でいくらか参考になるのではないかと思ったことを書いてみました。気軽に読んで頂けましたらしあわせです。
             1.出席

パーティは、儀礼的な集まりでも、日常から脱出して、普段会えない人と接触でき、命の洗濯ができる機会になり得るでしょう。行くことに決めたら、楽しまなければつまりません。招待する側はそのつもりのはずです。ただ、日本のマナーがどこでも通用するとは限りません。織田信長と斉藤道三のように振舞えば、びっくりされるでしょう。欧米人、特にフランス人のマナーを知っていると、恥ずかしい思いをしなくて済みます。

正式なパーティでしたら、招待状は少なくとも10日前に届きます。ただ、多忙なとき、うっかりすると、日を忘れたり、間違えたりすることがあります。ご用心、ご用心。

パーティには、公的な行事と親しい集まりに出席する場合と家庭に呼ばれた場合に従って、どの程度早めに行くベキかどうかが気になります。ところによっては時間の観念が違っていて、ラテンアメリカは時間にはおうようで、タイム・イズ・マネーで働く日本人商社マンをときには悩ませているようです。

パーティでは、正客も、
A.指定時間の少し前に
B.ぴったりその時間に
C.少し遅れて
訪れると良い?

                        (答えは次ページ)
答:A

 フランスでは、以前、パーティに出席するとき、独身者は誰か異性の人を連れ立ってカップルで出席したものです。その場合、どのような人と連れ立ってくるかをあらかじめホストに知らせるのが普通でした。独身者は社会的に一人前の人間として見られていなかったからかも知れません。

 日本では、偉い人は、皆に窮屈な思いをさせないためにわざと遅めに訪れたりします。フランスでは、料理の食べごろや進行の関係で、遅れると、主催者側はやきもきします。公的な晩餐会では、遅くとも定刻の15分前には着くようにします。特に高貴な方が主賓であれば、一般の招待客は開宴の20~30分前に着くようにします。高貴な方は別室でくつろいで、定刻に現れます。

 家庭に呼ばれたお客がぴったり約束の時間に着くのは、フランスではイギリス時間に来た、とからかい気味に言いますが、悪いこととは言えないでしょう。

 家庭に呼ばれる場合、間際になってもまだ支度が整っていないことがあります。来客は、それを考慮して、1~2分遅れて訪れるのが適切かも知れません。遅刻は15分までです、30分の遅刻は、電話で予告しない限り、許されません。やむを得ず遅刻する場合、その理由を前もって電話で伝えるべきです。

 来ることになっているお客がまだ姿を現さないとき、ホステスが電話をかけることがあります。お客が招待を忘れていれば、そしてホステスがぜひ来るようにと勧めれば、例えお腹が一杯であっても、急いで駆けつけることになります。
2.手土産

公的なパーティでは手みやげ持参で出席すると却って迷惑ですが、フランス人家庭へのお呼ばれのとき、日本人家庭に呼ばれたときと同じく、手土産を持参すべきかどうか、あるいは前もって何かを送るべきかどうかで迷います。相手の国の風習によって異なるからです。ちなみに、父はエチオピアに赴任して、召使いの結婚披露宴に招待されたとき、牛を1頭お祝いに進呈しました。もっとも、父は痔に悩んでいたので、唐辛子の利いた料理にはほとほと困ったようです。

手土産は、頂いて嬉しい方が多く、歓迎されるのですが、選択を間違えると、ときには招待者側に不愉快な気持ちを起させることが稀にあります。手土産の一種と言えるかどうかは判りませんが、結婚式の引き出物は、新婚家庭には喜ばれても、その内に同じようなものを幾つも頂くと、困ってしまいます。最近では、カタログから選ばせる方式が普及しているのは結構なことです。フランスには引き出物を来客に差し上げる習慣はなく、訪問客が手をつけなかったお菓子を紙に包んで帰り際に渡すことも有り得ません。

フランス人家庭へのお呼ばれのとき、
A.手ぶらで行く   
B.花を送るか持参する   
C.食べ物を持参する
D. それとも日本的なものを持参する
のが良いでしょうか。                    

答:B

 フランスでも、知人を自宅に招き入れるのは稀になりましたが、遠来の客からは珍しい話が聞けるので、日本人は呼ばれる可能性が高い。

 日本と同じく、家庭へのお呼ばれのとき、手土産を持参するのは自然です。いろいろ世話して頂くからです。外国では、訪問する家が花の咲いている時期で田園地帯にある場合を除いて、一番無難なのは花束です。花束を当日持参することもありますが、ときにはホステスの用事を増やすことになりますので、名刺を添えて数時間前に届けさせるか、翌日に送ります。花は奇数です。

 フランスでも、最近では、大輪の菊は気にしない人が増えているようですが、菊とカーネーションは、お盆に当たる11月2日の墓参に特に使用しますので、差し上げない方が無難でしょう。特に病気見舞いの場合は絶対に駄目です。

 手土産は、お返しの招待をする機会に乏しい場合、持ってゆくことが好ましい。花束に限らず、手土産としてチョコレート等を持参することもできます。二人以上で行くときにはその両方も良いでしょう。他の客のある場合、手土産は玄関で家の人に渡すか、名刺を添えて、玄関の小机の上にそっと置きます。

 菓子以外の食べ物やぶどう酒は、相手の好みを知らないとき、避けるべきです。人によってはそれを嫌味と感じることがあります。日本人と付き合う機会の多い人は扇子や日本人形を既にもらっている人が少なくないので、要注意です。漆器も、フランスの乾燥気候の関係でひび割れる恐れがあります。ハンカチでは、刃物と同じく小銭を忘れずにもらうことは良く知れれているでしょう。
3.ノック


日本の伝統的な家屋には呼び鈴のない家があり、大声で「ごめん下さい」と言わなければならない場合があります。フランスの古い家では、呼び鈴の代わりに金属製の環が扉に付いていて、それで扉を叩くようになっています。日本と違って、扉を開けてから声をかけるのではありません。「三匹の子豚」の童話で判るように、頑丈な家を建てて、戸締りをしっかりやります。

 フランスでは、東部のアルプス山脈と南西部のピレネー山脈および西部のブルターニュ半島に地震地帯がありますが、パリにおりました3年間とリヨンでの7年間に地震を感じたことがありません。気候の面では、以前には夏は過ごしやすかったが、冬は曇天が多いせいか、寒さは底冷えで有名な京都よりも強く感じました。煉瓦作りの家が少なくないのはそのことも関係しているでしょうか。

日本では、欧米風になった大都会の場合はともかく、隣近所の目がありますので、安全はただだと今まで思われていましたが、日本でも最近はそうだとは言えなくなりました。いずれにしても、欧米人はずっと以前から用心深いです。

訪れた家の玄関とか、事務所あるいは個室で、もしも呼び鈴が無ければ、ノックをしますが、そのノックは、
A.静かに2~3回     
B.静かに4~5回、   
C.ある程度強く4~5回
する?
答:C

 日本では、相手にショックを与えて、迷惑になることを気づかって、つつましく2回くらいノックします。部屋が一般に小さいことも関係しているのでしょう。

 フランスに限らず、欧米では、建物はもともと石や煉瓦でできており、玄関や部屋が大きいので、日本式にノックすれば良く聞こえません。そのために幾らか強くノックする必要があります。家の入口では特にそうです。古い家にはノック用の金具が入口の扉に付いているほどです。もっとも、今では呼び鈴が普及しているので、入口でのノックはしなくても済みます。

 日本の伝統的住宅は、蒸し暑い気候でいかに涼しく暮せるかに重点が置かれたために開放的に作られてきたので、頑丈ではなく、村落内では相互扶助で生きてきたので、無防備であるのに対して、ヨーロッパでは、建物が頑丈にできているのは容易に侵入されないためですが、2004年は例外として、クーラを必要としないほと夏が過ごしやすく、寒い期間が長いことにも依るでしょう。

 日本式のつつましいノックは陰険な印象を与えますので、欧米人を訪れるとき、室内に入る場合にも、ほんの少し強めにノックすることをお忘れなく。

 個人の部屋はその人のプライベートな空間ですので、許可なく入ることは遠慮しなければなりません。親しくても部屋に入る前にノックして、入って良いかどうかを確認する必要があります。


4.コート

フランスの冬は長く、カンヌ(フランス人は実際には[カ-ヌ]、もっと正確に言えば、「カーn」と発音します。ダブルN かダブルMの前の母音は鼻音にならないからです)のある、コートダジュール(Côte d’azur)の名称で知られている地中海に面した地域を除けば、どんよりした日が多い。冬休みに避寒に来た人達は、顔色で見分けがつくくらいです。

南部を除くフランス本土の秋と冬は曇天が多く、街路樹のプラタナスはもちろん、多くの樹木は落葉樹ですので、木は裸になり、椿や青木、やつでのような広い葉の常緑樹はない。まして山茶花のように東京でも真冬に花の咲く樹は見当たりません。それで秋はシャンソンの「枯葉」と同じく、実に裏寂しい。鈴蘭やライラックの咲く5月が待ち遠しいはずです。それで、フランスでは、気を紛らわせるのに寒い時期に演奏会や演劇が多いのは当然でしょう。カーニバルも、活気を取り戻すのになくてはならない楽しい行事です。クレープとか、穴のないドーナツのようなベニエを食べる日です。

日本の10月は、夏の暑気から解放されて11月と共に快適ですが、フランスは、冬の訪れが早く、10月にはコートを必要とするのは珍しいことではありません。

コートを着ていれば、日本でもフランス人宅を訪れたとき、コートは、
A.玄関に入る前に      
B.玄関に入ってから
脱ぐ?
答:B

 フランスの冬は日本のよりも長いので、コートを着る期間は長い。10月にはコートを着始め、すずらんやライラックの咲く5月上旬は待ち遠しい

 日本では、コートを着たままの姿は外出向きですので、玄関であいさつするだけの場合にも玄関に入る前にコートを脱ぎます。

 しかしフランスに限らず、欧米では、コートを脱いでから玄関に入れば、室内に入らせてほしい、と言う合図に感じられますので、招待された場合にも、コートは玄関に入ってから脱ぎます。あいさつだけのための予告無しの来訪では、玄関での5分間の立ち話で済ませます。留守の場合、名詞の左端を縦に折って、家人に渡すか、郵便受けに入れておきます。

 招待された場合ではないとき、家の人から「どうぞお脱ぎ下さい」等と言って招き入れられない限り、コートを着たままでいるべきで、招き入れられないとき、玄関であいさつや用件を済ませて帰ることになります。日本と違って、靴をはいたままで室内に入りますので、玄関の外に置かれているマットで靴の裏をよく拭きます。

 アットホームでも、夏ははだしになりません。素足は、海水浴場以外では嫌がられます。外国の家では、床が板張りですので、履物は必要です。日本の生活に慣れていない外国人が畳の上にスリッパで上がりかねないのは、その習慣によります。湿気の多い日本では、畳の方が水虫予防にも良いのですが、板張りの床の家が増えましたね。
5.帽子

戦前のフランスでは、男性は帽子をかぶっている方が当たり前で、中折れ帽やハンチングあるいはベレー帽をかぶった人が多かった。子供の頃の私と弟は、外出するとき、ベレー帽をかぶっていました。

日本もそうですが、フランスでも、戦後から、男性の頭上から帽子類が姿を消して無帽が普通になってしまいました。ヨーロッパ大陸でも、シルクハットはもはや見られないでしょう。

現在では、男性で帽子を被る人はかなり珍しくなりましたが、女性は帽子を活用しています。日よけや防寒のためだけではありません。おしゃれ用でもあります。

男性は、毛が薄くなったことを隠すために帽子を被っている人がいます。しかし、被っている帽子を脱がなければならない場合があります。日本では、室内で帽子をしたままの男性がテレビに現れることがありますが、欧米では、ありえないことでしょう。捩り鉢巻は帽子ではありませんが、それでも、身分の高い人と話をするとき、職人は鉢巻を外しているのを見たことがあります。

女性は、室内では帽子を
A.脱ぐ       
B.脱がない    
C.脱ぐ脱がないを自分で決める
のは当然?
答:B

戦前には日本でも中折帽子をかぶっている紳士や鳥打帽をかぶっているいなせな兄ちゃんは少なくなかったのですが、今では男性はハイキングでピケ帽をかぶる程度でしょう。フランスでも帽子を愛用している人はかなり少なくなっているようです。

 帽子をかぶっている男性は、玄関、室内、エレベーター内では帽子を脱ぐのは当たり前です。道で葬列に会うときも脱帽します。敬意を表すためです。

 しかし、女性の帽子は髪飾りと見なされておりますので、麦わら帽子の類を除けば、脱がなくても良いのです。また、脱ぐと髪が乱れる恐れがあります。
いつかあるパーティで、びっくりするほど広いつばのある帽子を被っていたある国の身分の高い女性に出会ったことがあります。

 日本では、日よけのために広いつばのある帽子を被る人がいます。紫外線を恐れてのことでしょう。でも、日本人よりもメラニン細胞のずっと少ない友人のベルギー人夫妻は、日の良く当たる石垣島で夏休みを取りました。

 イスラム教の女性信者だけでなく、キリスト教会内では、けいけんな女性信者が髪の毛を覆う宗派があることは日本でも広く知られているでしょう。

 食事中に髪の毛が乱れているのではないかが気になっても、または頭がかゆくなるようなことがあっても髪の毛にさわってはいけません。いやがられること請け合いです。
6.公的な晩さん会では

 招待状に「cravate noire、robe longue 」(黒のネクタイ、ロングドレス )または「smoking」(タキシード)と書いてあれば、フランス人男性はタキシード、すなわち上着の襟およびズボンの脇に黒い絹が縫い付けてある服を着て、蝶ネクタイか黒いネクタイを締めて出席することになり、女性は夜会服、例えば襟の大きく開いているロングドレスを着るでしょう。日本人でしたら男性は三つ揃い、女性は訪問着、日本人女性でしたら着物、というところでしょう。「tenue de soirée」(夜会服)もそれに準じた正装が要求されます。 「décoration」(勲章)と書いてあれば、略章を左胸のボタンホールに付けます。

 「tenue de ville」(街着)と書いてあれば、男性はダークスーツ、白いワイシャツ、黒い靴下、地味なネクタイ、女性はワンピースかテーラードスーツ
が妥当でしょうが、公的な行事でなければ、上記よりももっと気楽な服装が適している、と言えるでしょう。ラメの入っている服や襟の大きく開いている服は避けた方が良いようです。

 女性は昼食会やカクテルパーティでは、服装の一部としての帽子を脱ぎませんが、晩さん会では、帽子を被らないことに留意して下さい。なお、夕食が
遅めの時間に決められているときはフォーマルであると予想されます。

 女性は、正装の長い手袋を
A.どの場合にも脱ぎません?
B.公的な晩さん会ではやはり脱ぎます?
答:A (しかし、手袋を嵌めたままでは、おいしく食べるのに具合がよいようには思えませんが)

 複数の指に指輪を嵌めたり、指輪を二つ同じ指に嵌めて楽しむ傾向があります。もっとも、晩さん会では、指輪を一つに限定する方がしゃれているように思います。

 服装に上手に合わせたネックレス、ペンダント、イヤリング、ブローチ類はすばらしいですが、センスの問題であり、高価でありさえすればよい、とは言えないでしょう。

 サンダルが履ける気軽なパーティでは、アメリカでも、女性はストッキング着用が当たり前だそうです。日本、特に東京では生が好まれていても生脚は論外です。

 戦前と違って、今ではネクタイピンを露出させる使い方をしなくなりました。男性は、鎖の付いた時計を使用することも止めています。男性は、エンゲージリンング以外の指輪を嵌めると、きざに見えます。女性では、ベルトは服を引き立たせるのに使用できますが、男性では、太いベルトや目立つバックルは、パーティ向きとは言えません。

 男性は、胸のポケットからハンカチをおしゃれにちょっとのぞかせることもできます。昔は折りたたんで、真ん中がちょっと高い三つの山形が出るように折りたたんだのですが、その後はほんの少し胸のポケットから平らにのぞかせるに止めるようになりました。丸く出すのはラフな感じがします。

7.玄関

 フランス高級アパートでは、管理人の部屋が1階にあって、このアパートの住人に会いに行く場合、管理人に訪問先を言うことになっています。1階は「rez-de-chaussée」(レドショセ)と言って、住人は2階以上に居住しています。2階は「premier étage」(プルミエエタージュ)と言って、「第1の階層」を意味します。一つづつずれるわけです。入口に表札が出ていないので、他所の人の所と間違えないように注意して下さい。

 伝統的な日本家屋と違って、フランスの家屋の玄関は開放的ではありません。かぎが掛かっているので、一々入口を開けてもらう必要があります。日本でも、大抵の家の玄関の戸が開放的であった戦前と違って、少なくとも都会では、昼間でもかぎの使用は普通になりました。

玄関の戸を開けてもらうと、誰から先に入るかが気になります。日本では、外、すなわち公的なところでは、妻は夫を立てるのが建前になっていて、夫は先に行動しますが、最近では、どうでしょうか。

フランスでは、夫婦に限らず、男女が連れ立って来訪するとき、玄関に先に入るのは、またはエレベーターや車に先に乗るのは、一般に、
A.男性         
B.女性         
C.子供
です?

答:B

 ヨーロッパでは、女性を尊重する騎士道の影響が強く、終戦後、日本が占領軍の支配下にあった頃、満員電車で、アメリカ兵が、座っている男性を立たせて、女性を座らせていたのが話題になったことがありますが、欧米人にとって、ごく当たり前の事を日本人がしないのにあきれたでしょう。もっとも、最近では、男女同権になって、選挙権だけでなく、女性は仕事でも男性にとってライバルになりましたので、フランスでも、乗物で女性に席を譲る男性が少なくなったようです。私の妻の経験ですが、おもしろいことに、きれいな服装をしていると、日本だけでなく、中国でも、席を譲ってくれる男性が少なくなかった。フランス人の習性では、なお一層そうでしょう。それとは別に、フランスの都会で道を聞く場合、親切すぎる男が居るので、若い女性は用心する必要があります。

 男性が女性の荷物を持ってあげたり、ドアーを開けてあげたり、道路では男性が車道側を歩くのは今でも普通のことです。戸を開けて、女性を先に通すのはエチケットです。戸を閉めるとき、後ろに人がいないかどうかを一応確かめるものですが、自動ドアーでそうしない人が増えているようです。

 フランス人男性は、人前では、連れの女性がコートを脱ぐのを手伝います。戦前のことですが、日本の外交官が奥さんのコートを脱がせたとき、小声で「ここだけのことだよ」と言ったのを父が笑いながら教えてくれたことがあります。もっとも、今の日本の男女関係は平安時代に戻る兆候がありますので、亭主関白は旧人類として珍しがられるようになるかも知れませんね。


8.会場に着いて

パーティでは、ラッシュ時の渋滞を考慮に入れて早めに出かけるのはどこでも同じで、また、行き付けないところが会場になっていれば、その場所を探す時間も計算に入れる必要があります。大きなホテルでは、中に入ってから目的の会場にたどり着くのに結構時間が掛かります。

遅刻しないように配慮して出席するのは当然ですから、着いてから会場でしばらく待つようにします。クロークでコートなどを預ける時間も要ります。衣類だけでなく、手荷物ももちろん預けて、身軽になります。クロークが無い場合には、止むを得ず室内の一箇所にコートや荷物を置くことになります。

畳を敷いた会場で履物を預ける人がいない場合には、帰るとき、履物を取り違える人がいるのは困ったことです。草履の場合が特にそうです。クリップなどを用意して、目印を付けるのも一法でしょう。

 大抵の場合、主催者は入口の近くにいるので、あいさつして会場内に入ります。会場内に入らないで、遠慮して入口の辺りに立っている人がいますが、それでは出入りの邪魔になります。会場の内部に進むと良いです。

待っている間、先に着いた
A.男性           
B.女性
は、壁際に並べてある椅子にすぐ座れる?

答:B

日本のパーティでは、先に着いた人は、性別、年齢に関係なく、誰でも壁際に並べてある椅子に座ることができます。待つことになるのでそれが自然であり、入口でたむろして、出入りのじゃまをするよりもずっと良いです。食卓では、ホステスは、どこに座るべきかを教えてくれます。

 欧米では、これもまた騎士道の影響によって、大勢の場合、座るのは女性と高齢者で、立っているのは一般の男性です。もちろん身体になんらかの障害のある人は優先的に座れるのは言うまでもありません。子供は、電車の中でもそうですが、立っているのが当たり前です。子供は原則として大人のパーティに参加させてもらえません。主催者側で子供を参加させるのは、間際に出席できなくなった人のために人数が揃わなくなったときにそうせざるを得ない場合です。キリスト教ですと、13は忌み嫌われており、席の関係で人数が偶数になるように子供を加えることになります。

 愛煙家はちょっと一服したいところですが、日本と違って、欧米では、人が多数集まる所で喫煙するのは白い目で見られます。パーティは何時間も続きますので、愛煙家にとって辛いことですが、我慢の子で通すことになります。余談ですが、フランスの煙草は、パイプ煙草や葉巻のような味ですから、慣れない人にはなじみにくいでしょう。

 夕方6時か7時からのパーティであるから食事が必ず出る、と早合点してはいけません。飲み物とおつまみだけの集まりもあります。それとなく確認した方が良い。晩さん会は8時に始まるのが普通です。

9.あいさつ時の起立

 控えの間があれば、もちろん椅子の用意があります。また、ビュッフェ形式、すなわち立食パーティでは、邪魔にならない壁際に机と椅子が用意されています。ウェイターが冷たい飲み物を室内で待っている客に薦めます。フランス式でしたら食前酒かシャンペン酒それにちょっとしたおつまみ、日本式でしたらウィスキーのオンザロックかビールまたはオレンジジュースでしょう。

女性と違って、私もそうですが、見知らぬ人に気軽に話しかける日本人男性はとても少ないようです。しかし、所在なさそうにしている外国人ですと、話題にできることが多いでしょうから、気軽に接近した方が良いように思います。また、外国で無視されるのは辛いことだからです。

パーティで早めに着いて椅子に腰掛けているとき、後から来た知人に会うことは珍しくありません。あいさつのため、あるいは誰かを紹介するために知人が接近して来たとき、日本では、座っている高齢の偉い人はともかく、男女を問わず、起立してあいさつするでしょう。

フランス式では、パーティで、座っている20歳以上の女性は、誰かがあいさつか紹介のために近づいてきたとき、
A.起立する       
B.起立しない
C.起立する起立しないを自分で決める
ことになります?

答:B

 日本では、誰でも、あいさつのときに立ち上がりますが、フランス等では、必ずしもそうではありません。座っている女性は、男性が近づいてあいさつしても立ち上がる必要はありません。もっとも、近づいてきた人が高齢者か身分が上の人であれば別です。

 公的なパーティでは、男性は、後から人が会場に入ってくるたびごとに起立します。外国の男性にとって、日本式はうらやましいでしょうね。

 フランスでは、特に公的なパーティでは、係の人が入ってきた客の氏名と肩書を告げますが、それは特別なことです。招待された賓客、特に外国からの賓客が入ってきたとき、その人を紹介するのはホスト側の務めです。

 パーティには乾杯はつき物です。座っている男性は乾杯のときに腰を浮かして半ば立ち上がりますが、女性はこのときも座ったままです。

 女性尊重は欧米では当然のことになっていますが、世界的でないので文化的摩擦になりやすいのは周知のことでしょう。イスラム圏に対しては特にそうでしょう。一夫多妻制は、元々戦い等で男性が少なくなったとき、女性のための一種の救済策だったように思います。その証拠に、妻達を平等に扱わなければいけない、と定められているそうですね。それが守られているかどうかは別問題ですが。いずれにしても、教育が普遍化し、平和になり、生活が向上すれば、イスラム圏の男性も、亭主関白でいられなくなるでしょう。

10.紹介


日本のパーティでは、知人だけが小さく固まる傾向が見られます。確かに話が合いやすいでしょうが、知り合いでなくとも、気軽に相互に接近するのが好ましいでしょう。パーティで退屈するのは実に詰まりません。

内気で一人ぼっちで所在なさそうな人達がいれば、フランス式では、ホステスかホストは、同じく一人でいる誰かを適当に紹介します。共通の話題が見つかるように、どちらかまたは双方の職業とか国籍など、きっかけになりそうな一言を添えてくれます。私の今までの狭い経験だけでも、英米人と北欧の人は積極的に近づいてきますが、東南アジアの人達は人見知りするように感じました。

 初対面のあいさつは、戦前よりも大幅に簡単になったのはありがたいことです。
フランス式ですと、男性に対しては「Bonjour, Monsieur」(ボンジュールムシゥ)、既婚または中年以上の女性に対して男性は「Mes hommages, Madame」、
(メゾマージュ、マダーム)、女性は「Bonjour, Madame」(ボンジュールマダーム)、未婚女性には「Bonjour, Mademoiselle」(ボンジュール、マドムァゼル)と言います。自己紹介では、自分の名前に「ムシウ」などを付けないで姓名だけを名乗ります。既婚夫人は、自分の名前に「マダーム」を付けます。未婚との混同をさけるためです。

紹介をするとき、紹介者は、
A.男性を女性に    
B.女性を男性に
紹介します? 
答:A

 これも騎士道の影響によって、女性尊重の意味で、男性を女性に紹介することになります。身分や年齢に大きな差がない場合、必ずそうします。

 あいさつの言葉を先に言うのは一般に男性の方です。戦前の京都式のような長いあいさつは珍しくなかったのですが、フランスでも、さいわいにも戦後は形だけの長いあいさつはすたれてきているようです。

 外国人に対しては、簡単でも相手の国のあいさつの言葉を使うと喜ばれます。ただ、気になることですが、会話本に書かれている会話の言葉は学生同士とか、ビジネスで簡単なあいさつをするときの表現しか記されていないことです。また、男性しか使用しない言葉があり、女性向きの言い方もあることにも注意を払う必要があります。社交の場合にはあらかじめ調べておくと良いでしょう。

 相手が年配者か身分の高い男性であれば、女性をその人に紹介します。席順と同じく、年配者と身分の高い人には敬意が払われます。乾杯の音頭を取る人も、年配者か身分の高い人です。

 出席者が大勢いるパーティでは、自己紹介して共に一時を楽しく過ごします。知人とだけで小さく固まるのをよく見かけます。知人が居ない場合、困ることがありますが、いろいろな人と気軽に話をする方が良いはずです。一人で食べることだけに専念することも可能ですが、部屋の隅で退屈するのは実につまりません。


11.握手

あいさつの動作は、両ほほへのキッス、右手の甲へのキッス、ロシア式の抱擁、タイなど仏教国での合掌、日本のお辞儀、軍人の敬礼など地域と立場によってさまざまですが、他国人とでは、ヨーロッパ式の握手は世界で広く行なわれています。握手はもともと相手に対して敵意がないことを表すためのしぐさでした。

 両ほほへのキッスは、親しみと歓迎の印です。ホームスティでは、日本人女子留学生でその経験をした人はいるでしょう。唇へのキッスは肉感的すぎるので、恋人専用です。

 フランス式の女性の右手の甲へのキッスは、女性の手の差し出し方でフランスの紳士に判ります。もっとも、この方式は、路上では行なわれません。日本でも、道路では、京都式の長いあいさつはおかしいし、深いお辞儀は人の行き来の妨げになるでしょう。

パーティでは、相互に紹介されていない者同士が接触する初対面のとき、握手をしません。笑顔を浮かべて軽く会釈し合うだけで、あいさつの言葉も簡単です。

知人同士が出合うとき、または誰かに紹介されたとき、握手は、原則として、
A.男性
B.女性
が先に手を差し延べます?
答:B

 握手は、相手に対して敵意がない印であります。しかし昔は必ずしもそうではなかったので、今でもフランス人は本能的に身体が付かない程度で、握手の直後に相手から少し離れることがあります。

 日本では、握手するとき、男性が先に手を差し延べるのが普通のようですが、フランスなどでは、地位か年齢が離れている場合を除けば、女性がそうします。やはり騎士道の影響の結果でしょう。

 しかし、初対面のときには、女性は必ずしも手を差し延べるとは限りません。会釈する方が多いでしょう。そのとき、男性も返礼として会釈するだけです。

 日本人がまねをするとおかしいですが、女性が片足を引いて、手でドレスを軽く広げるようにして膝を曲げておじぎをする、高貴な方に対する上品な挨拶法もあります。男性は、女性の片手の甲にキッスする上品な挨拶法もありますが、日本人向きではありません。

 未成年の若い女性は、男性に対しても先に手を差しのべません。

 外国人と握手をするとき、日本女性は遠慮して、相手の手をふわっと軽く握るだけにしがちです。ところがそうすれば、外国人は、日本女性が気持ち悪がっているか、自分を嫌っているからではないかと気にします。誤解されないためにも、しっかり握手する必要があります。


12.握手と会釈

会釈はなにも日本だけで行なわれているのではなく、日本式のお辞儀はともかく、フランスでも軽いあいさつのとき以外にも、会釈しながら握手する特別な場合があります。

握手は、手が汚れていない限り、気軽に行なわれています。余談ですが、日本人の感覚からすれば、ちょっと気になる場合もありますが、偉大な細菌学者パストール(Pasteur)の同郷人達は、パンをむき出しに抱えたりしても気にならないことから見て、日本人ほど細菌を恐れていないようです。細菌を極端に毛嫌いしている人がいますが、身体の表面にいる細菌の多くは、逆に身体を守っているそうであり、口の中にも、多数の細菌が同居しているそうですね。
身体を弱らせないことが病気にならない秘訣のようです。

 車を運転するときとか、仕事で手を保護したり、汚さないために手袋をはめている場合、あるいは寒いとき、握手のために手袋を脱ぐベキかどうか思案することがあります。女性の手袋は衣装の一部と見なされるのが普通です。しかし、女性と違って、男性は手袋を脱ぐべき場合があります。

ところで、握手は、
A.会釈しながら   
B.頭を起こして  
C.両手で相手の手をにぎって
すると良い?

答:B

 日本では、おじぎをする習慣がありますので、握手するときにも、丁寧にするためにおじぎをしながら握手するのは珍しくありません。

 フランスでも、おじぎをしながら握手する場合があります。国家元首かローマ法王から握手を求められたときです。もっとも、その人がその友人でない場合です。友人であれば、親しみを込めて普通にあいさつします。

 フランスなどでは、両手で相手の手をにぎって歓迎の意を表すことがあります。相手を抱きしめるときもあります。強い歓迎の印です。

 しかし普通は、頭を起こして、相手の目を見ながら握手します。下を見ながら握手すれば陰険な感じを与えます。脇の方を見ながらの握手も論外でしょう。おとなしい内気な人も、勇気を出して下さい。握手は、相手の手をしっかり握りしめて、強く振ります。そっとではありません。

 車の運転などで手袋が汚れている場合でなければ、手袋を手にはめているままで握手しても差し支えありません。ただし、女性と握手する場合、男性は手袋を脱ぎます。パーティでは、女性の手袋は帽子と同じく、アクセサリーの一種ですが、屋内では、防寒用の手袋は脱ぎます。年長の女性との握手でも。

 女性は、職業上の場合を除けば、自分から男性に紹介してもらうように人に頼んだり、男性に対して自己紹介することはありません。このことに関して、女性は意外なくらいつつましいです。
13.名刺


 名刺は、相手がどのような人であるかの見当をつけるのに中々便利です。また、紹介された人が何人もいるときには、即座に名前を覚えるのは楽ではありませんので、日本では、仕事のうえでは欠くことのできないものでしょう。

フランス人も名刺を使用しています。日本の名刺よりも一回り大きい。日本と違って、自己または夫婦の名前が中央の少し上に印刷されていて、住所や電話番号が下に書いてあります。印刷されている名前を主語として、例えば出産や入学おめでとうなどを自分で記入する社交用、あるいは儀礼的なあいさつ回りに使用する社交用名刺であり、広く使用されています。日本と同じく、白く硬い紙製です。日本と違って、写真入りや色の付いた名刺、あるいは角の円い名刺や小さい名刺は無いようです。

名刺を贈り物に添えるとき、あいさつの言葉を名前の下に書きます。訪問先で土産を家人に渡せない場合、玄関の小机に名刺を添えて置きます。

帰国時のあいさつ回りで訪問先が留守であれば、横の端を縦に折って、「PPC」と書いておきます。「Pour prendre congé」の略で、留守中に「おいとまごいに参りました」を意味します。

初対面では、フランス人は、名刺を
A.交換する        
B.交換しない
人が多い?
答:B

 日本では、名刺を交換します。相手の名前を即座に覚えるのは大変なことですので、私にはありがたい方式です。

 フランスなどでは、名刺は社交上の簡単なあいさつに使用しますが、日本と違って、初対面のあいさつのときに交換することをしません。相手が複数ですと、その人達の名前を覚えるのは大変です。相手に呼びかけるごとにその名前を付けて言うほかはないでしょう。覚えやすい特徴があればしめたものです。以前会ったことのあります人は「ラメゾン」と言う名前でしたが、「ラ」は定冠詞、「メゾン」はフランス語では「家」を意味するので、珍しいことにいっぺんに覚えられました。

 仕事関係であれば、欧米人も、職業用の日本式名刺を用意する人が多くなりました。もっとも、以前のように話相手としばらく話をした後で、手帳に相手の名前を控えたりすることもあります。仕事のある女性も、名刺を使用しています。職業関係の名刺には職業とか肩書が書いてあります。

 フランス人の社交用名刺は日本のよりもずっと大きく、名前が中央にあって、住所は名刺の下です。夫婦の名刺が普通です。名前を主語にして、あいさつ文を手書きします。簡単な招待状とか、礼状、お祝いを述べるのに社交にはとても便利で、用途は広い。

 未婚の女性は、職業用は別として、名刺を出しませんが、出しても、住所と電話番号は記されておりません。女性はなかなか用心深いです。

14.失礼な態度

どの民族かは忘れましたが、子供の頭をなでたら、殺されるのではないかと思うほど反感を買ってしまう地域があるそうです。日本などでは、男同士の間で相手の肩やお尻を叩いても、どうということもないが、相手が女性では、間違いなくセクハラと言われるでしょう。

 フランス・デモよろしく道路を横一列に歩く学生、排気ガスと騒音を撒き散らす手入れの悪いバイク、神様になったつもりで横柄に構えるお客など、当人は普通にしているつもりでもかちんと来ることはいろいろあります。日本の道路事情で自転車の歩道乗り入れが認められており、歩行者優先のはずですが、逆現象もよく見かけます。少なくなりましたが、電車の中で化粧直しをする女性や新聞を大きく広げて読む男性が幾らか少なくなったのは嬉しいことです。

戦前では、よその子も自分の子と同じく、いけないことをしたら叱るのは当たり前でした。しかし今ではそうすれば、その子の親が怒って、叱った人を怒鳴ること請け合いです。

自分では当たり前のことのように思っていることで、意外にも相手に不快感を抱かせることとして、男性が
A.帽子をかぶったまま  
B.手袋をはめたまま  
C.片手をポケットに入れたまま
女性と立ち話をするのは失礼?

答:C

 日本では、男性は、登山などで日除けに帽子をかぶることがあっても、以前のように中折帽をかぶることは珍しくなり、シルクハットはまったく見かけられなくなりました。欧米でも、帽子をかぶっている人は少なくなっているようです。その方が気楽であり、必要以上に裕福に見られなくて、すりや強盗に狙われる恐れが少なくなるからかも知れません。

 帽子をかぶっている場合、男性が帽子を脱ぐのは葬列に出会ったときとか、室内やエレベーターの中ぐらいで、それ以外には問題はありません。

 女性の帽子は、髪飾りの一種と見なされていますので、どの場合にも脱ぐようなことをしません。

 男性は、ちょっと気取るとき、片手をポケットに入れることがあります。寒いとき以外にはかっこうをつけるためですが、女性と立ち話をするときはちょっと失礼です。ある国の首相がイギリスの女性首相と立ち話をしていたとき、うっかりそうしておりましたが。

 手袋は服装の一部と言えるでしょうから、手袋をはめたまま女性と立ち話をするのは一向に差し支えない、と言えます。

 道などできれいな人やかわいい女性につい見とれると、日本では不機嫌な顔をされかねませんが、フランス人女性はにっこりすることがあります。自分の魅力を認められたからです。
15.口臭

 哺乳動物は、体温が高いせいか、体臭があります。人間はもちろん体臭があります。日本人はヨーロッパ人ほどアポクリン腺が多くなく、夏は高温と湿気のために風呂とシャワーを多用しますので、体臭は控えめだと言えるでしょう。それでも、神経質すぎるくらい気にする人が多いようです。

 フランス人は、日本人と違って風呂には執着がなく、ホテルでも浴室付きでなく、シャワー付きの部屋が好まれているようです。アパートでもそうで、シャワーが愛用され、男性は、身だしなみとして、オーデコロンなどの化粧水を使用する傾向があります。女性は香水です。

 神経を使う仕事をしていると、胃の不調に悩むことがあり、したがって口臭が気になります。日本には、口臭がひどくないのに話をするとき、手を口に当てる人がいます。昔はお歯黒にするほど動物的に見えることを嫌がる神経が働いていたせいかも知れません。もっとも、今では、見事な歯並びによる結果を堂々と見せるせんべいなどのテレビ広告があって、私のようにサンドイッチやトーストを食べるとき、3回くらい口を殆ど開けないで小刻みに噛んで、噛んだ後が弧状にならないように配慮するのがおかしいような気になります。

、口臭に悩む人は、
A.口を手で覆って     
B.ハンカチで覆って    
C.全然覆わない
で人と会話をするのは差し支えない?
答:C

 他の哺乳動物と同じく、人間には体臭があって、湿気の多い日本では、清潔さだけでなく、体臭を減らすためによく風呂に入るのは良いことですが、髪の毛が老人の毛並みにぱさぱさになるほど毎日洗ったり、自宅内では、トイレだけでなく、室内でいろいろな薬剤で涙ぐましい努力をしている人がおります。清潔さはとても大事ですが、行き過ぎはちょっと気になります。

 フランスなどでは、今ではシャワーをよく浴び、女性は香水も使用します。昼間は弱めにしています。男性はオーデコロンを使用します。フランス人のアポクリン腺は、日本人のよりも発達しているので、体臭消しは必要です。良いふんいきをかもしだすのに都合が良いでしょう。しかし日本では、家屋が小さく、人が多いので、香水の使用は、欧米よりも控えめにしないと却ってまわりの人の迷惑になります。

 若い女性には植物性の香水が似合います。フランスでは、彼氏が彼女のための香水を選んだりします。好きな人を好きな香りで包みたいからでしょう。香水が似合うかどうかを知るにはごく少量を手の甲にこすりつけて、ちょっと間をあけてからかぐと、体臭との調和の良し悪しが判ります。

 日本では、口臭に悩む人は口を手で覆う人が少なくないようです。つつましく振舞うか、口臭で人に不愉快な思いをさせないためですが、外国人から見れば陰険な感じを与えます。にんにくを食べた後、口臭がひどくても、顔の表情がよく見えるように、口を手とかハンカチで覆わないようにします。

16.話題

 日本人留学生がフランス人家庭に呼ばれるのは、異なった文化についてフランス人がいろいろ聞きたいからでしょう。ところが日本人は、自国の文化よりも欧米の文化に関心があって、自国の文化について意外なほど知らない人が少なくないので、ミスマッチが起りやすい。フランス人は自国の文化に誇りを持っているので、小さな店の女将さんでも、日本人がフランス語で間違った言い方をすると、即座に正しい言い方を教えてくれる、と幾人かの友人が打ち明けてくれました。

 東京と大阪では、「ばか」と「あほう」の受け取り方が正反対だと言うことは良く知られています。外国人に対しても同じ気配りが必要でしょう。


パーティでは、いろいろな人と話をする機会が多い。また是非そうすることが好ましい。共通の関心事が話題になる場合が多いでしょう。また、文化の違いで話がはずむこともあります。フランス人でしたら、見方が異なることに興味を持つ場合が少なくない。自国と同じであることを要求しかねないアメリカ人とは対象的でしょう。

ときにはうっかり言ったことがトラブルの原因になりかねない話題もあります。パーティでは、
A.政治       
B.宗教     
C.他人のうわさ
を話題として特に避ける方が良い?
答:B

 イスラム教のパキスタンとバングラデシュがヒンズー教のインドから分離独立したり、北アイルランドではカトリック系とプロテスタント系住民の対立がなかなか解けないことを見ても、政治や経済面の優劣だけが対立の原因ではないのは周知のことでしょう。同一宗教内でも、宗派間の対立もありますので、宗教を話題にするのを一応避ける方が賢明です。触らぬ神に祟りなしです。

 フランス人は権利を侵害されると積極的に反応し、ストを起こすのはごく自然です。政治は個人の権利に関係しますので、政治には高い関心を示します。もっとも、パーティで政治を話題にすると、ぎすぎすした雰囲気になる事があり得ます。その恐れが生じたとき、気のきいたホステスは別の話題を提供して、気分の転換をはかります。フランスのホステスは飾り物ではありません。

 パーティには、普通、政治的に対立している人を同時に招待するのはタブーです。パーティが目茶滅茶になる恐れがあるからです。他人のうわさは最良の話題ではありませんが、万国共通の関心事でしょう。フランス革命のとき、自国の国王を処刑したのに、よその国の王室は週刊誌の格好の話題になっていることでも判りますね。

外国人が特に気味悪がっているのは、楽しくもないのに笑顔を見せることです。立場上、同等か少し低い人が相手の言動、態度に嫌悪を感じながら関係を穏便に収めたいときに見られる状態です。もしも外国人からこの奇妙な笑顔のことを聞かれたら、嫌な相手とも共存したい和の精神による、と説明する必要があります。さもなければ、日本人は偽善者だと思い違いされかねません。
17.音

 食事中のバックミュージックは楽しいものです。会話の邪魔にならない程度の音量での室内楽は良い雰囲気を高めます。

音楽は民族によってかなり特徴があります。ノルウエーのグリーグ作曲の「ソルヴェーグの歌」のような曲はイタリアでは生まれにくいでしょう。

バロックあるいは教会音楽の愛好者とか、私の弟のようなシャンソンに熱中する人がいるかと思えば、ロックでないと夜も明けられない人、カラオケや民謡に心酔する人もあって、音楽だけでも十人十色です。私が赤ん坊であったころ、母はオペラのアリアを子守唄代わりに歌っていたので、私は今でもオペラのアリアが特に好きであり、弟の時にはシャンソンばかりを歌っていたので、弟は「シャンソンのアーテイストたち」を書くほどになり、毎日出版文化賞およびフランス政府より文化勲章を授与されたほどシャンソンに心酔しました。

音に対する感受性は万国共通と思われる場合があるかと思えば、違うこともあるわけです。虫の鳴き声に対する感受性はかなり異なります。

フランス人には、風鈴の音色は
A. 心地よく
B. 涼しく
C. うるさく
感じられます?

答:C 

風鈴は、金魚売やすだれと共に夏の風物詩で楽しいものです。金属製風鈴の涼しい響きは好ましいが、ガラス製の丸い風鈴の素朴な音色も捨てがたい。もっとも、最近の例外的な猛暑は別として、フランスでは、真夏でも上着を着ることに苦痛を感じないフランス人にはなじみが無いせいか、それをうるさく感じる人がいます。日本でも、自然から切り離された生活の場であるいわゆるマンションとか団地に住んでいる人達の中にも迷惑に感じる人がいます。マンションと言えば、欧米では豪邸を指します。私が夏休みを過ごしました豪邸は、門を入ってから玄関に着くのにかなり距離があったし、広い寝室の数も、旅館なみでした。

 桜は春の到来の証であり、冬からの開放感を満喫させる自然のやさしく、華やかな装いとして平安時代から欠くことのできない風物詩です。しかし、フランス人に限らず、外国人は、満開の桜を見ても、それほど感動しないことは脳波の測定で科学的にも確かめられています。鈴虫などについても、同じことが言えます。フランスにはこおろぎはいますが、その歌声は好かれているとは言えません。なんとなくさびしい感じがするからでしょう。鈴虫や松虫がいないことも関係しているかも知れません。

 和太鼓や津軽三味線に惹かれる外国人は少なくないようです。心に直接響くからでしょう。それに対して日本のシャンソンである演歌は、欧米人に好かれているかどうかは疑問に思います。私は、帰国?の船上で踊りのフイルムに合わせた東京音頭のメロディで文化ショックを受けたことを今でも覚えています。

18.女性に聞けること

 イスラム圏のように一夫多妻が認められている地域があったり、日本と違って、フランスのように私的な男女関係にはおおらかであるが、公的な過ちに厳しい国があります。私は米穀通帳を記念にもっていますが、その使用が正式に廃止される大分以前から有名無実になっていました。みんなで渡れば怖くない国だからでしょうか。ドイツでしたらどうでしょう。国によって生活の背景になる状況は大きく異なっているのに、ついそれを忘れて、思いがけない失言をすることがあります。

 フランス人と言っても、私が知っているだけでも、苗字から判断して、少なくとも一代前はチュニジア、スペイン、ベルギー、カンボジア、中国が祖国で、日本語を話せない日本苗字の人もいます。

 パリ市の北部18区と19区にはアフリカ系、13区は通称中国街でカンボジア人、ベトナム人、ラオス人が多く、出身国の宗教と伝統を守っている点は、アメリカに移住した日本人と変わらない。ルーツのことは無視できません。

また、女性と話をするとき、聞いても良いことと触れてはならないことがあります。女性に、その
A.国籍      
B.職業      
C.年齢
を尋ねるのは差し支えがあります?

答:C

 日本人はよく、お国はどちらですか、と気軽に尋ねます。確かにそれをきっかけにしていろいろ話をすることができます。同じ地域に関係がある場合は親しみを持ち合える利点もあります。ただ、相手の国籍によって態度を変えることだけはつつしむべきでしょう。

 日本人は単一民族と自負しておりますが、私の知っている医師は、フランス人からビルマ人に違いないと言われており、若い頃の父はブータン人そっくり、叔父の一人はインドネシア系、友人の一人は韓国系と顔を見れば実にさまざまです。れっきとした日本人であるのに、生活習慣が違っているために、帰国子女は毛色が違うと変な目で見られることが少なくないのは困ったことです。

 フランスでは、日本とは逆に、同一であることよりも違いがあることに関心があり、パーティも、違う職業の人を集める方が喜ばれます。それだけ話題が豊富になり、考え方の違う人が集まれば話に活気が出る可能性が高まります。職業も聞いて差し支えないです。

 若い日本人女性は実際の年齢よりも若くみえるので、未成年者お断りの所で入場を断られる人は少なくないでしょう。女性の年齢は外観では判別しにくいし、いつまでも若くありたいので、年齢を聞くのはもちろんタブーです。

 フランス人と違って、毛染めをする日本人は少なくありませんが、美容師が内緒で言っているように、頭皮が傷んで頭にかさぶたができることがあるようです。かつら全盛時代にならなければしあわせです。
19.正客の席


 立食パーティと違って、晩さん会などで主催者が頭を悩ますのは席順です。立食パーティでは、主賓にスピーチの機会を用意すれば問題は解決しますが、そうでない場合、配列は、料理と共に主催者側の腕の見せ所です。

フランス人は、キリスト教の枢機卿(Cardinal)を4人招待しなければならないとき、四角い食卓の四隅に座らせたらよかろうと言う冗談があります。東西南北の四方位は「Points cardinaux」と言います。「cardinaux」という語は「cardinal」の複数形です。この冗談で判りますように、席順は重要視されており、一般に、同業者のパーティを除けば、同一職業の同じ肩書きの人を同時に招待するのを避ける傾向があります。

 日本の結婚披露宴のように丸いテーブルをたくさん使用する手もあります。どのテーブルに誰と誰を座らせるかという難問もありますが、その方が幾らか簡単かも知れません。もっとも、公式のパーティでは、コの字型にするにしても、長いテーブルが使用されるので、接待する側は楽ではありません。

いずれにしても、日本に限らず、席順は問題になりやすい。食卓では、男性正客の席は
A.ホストの右隣     
B.ホステスの右隣     
C.ホストの真向かい
です?

答:B

 日本では、床の間の前、中央の席が最上で、一番主な人の席になります。床の間がない場合、入口から最も離れた席がそれに当たるでしょう。

 フランス式では、長い食卓で、ホストとホステスが向かい合わせに中央の席に座ります。そして男性正客の席はホストを中心として決めるのではなく、ホステスが中心になります。第1位の人はホステスの右隣、第2位の人はホステスの左隣の席を与えられます。女性正客の席はホストが中心になります。第1位の人はホストの右隣、第2位の人はホストの左隣に座ります。

 第1位の男性客の右隣は第3位の女性客であり、第2位の男性客の左隣は第4位の女性客になります。同じ要領で、第1位の女性客の右隣は第3位の男性客であり、第2位の女性客の左隣は第4位の男性客です。ただし、イギリスではホストとホステスはテーブルの両端に座り、主賓の席はテーブルの中央であり、北欧では左側が上席です。

 現在の晩餐会では、座るべき座席の前の卓上に、その人の名前が書いてある札がありますので、迷うことはありません。その点では、日本式の宴会で、どの席に座るべきかは頭痛の種で、ホストが適当に指図してくれない場合、皆は遠慮して、下座に固まりやすいことになります。席の順位を気にする人がおり、予想よりも低い席を与えられた女性客は、お返しのパーティで、低い席にされた腹いせに、前回のパーティのホステスを低い席に座らせることがあります。極端な例では、その人が着てくるはずの服の色が下品に見えるような色の壁紙を張り替えて恥をかかせた人がおりました。女性の執念は怖い。

20.席順

 公式の席次はウィンナ条約で大筋が定められていて、国家元首がトップです。公職関係は明確で問題はないのですが、厄介なのは政党党首、主要経済団体の長、実業家、文化人をどのように配するべきか、実に難しい。宗教家は上位の席順が与えられます。もっとも、キリスト教以外の宗教家が加わればさらに大変です。また、外国人を優先的に賓客として扱う習慣があります。国旗の掲げ方もそうであり、外国の国旗を自国の国旗の右側に掲げます。

外交官では、大使は外交使節の最高位であり、臨時的な特派大使と常駐の特命全権大使があるが、大使という語は、通常、特命全権大使を指します。特派大使は、儀式などに参列するために、臨時に政府を代表して外国へ派遣される大使です。公使は、国家を代表して外国に駐在し、外交事務を取り扱います。公使は、大使に次ぐ地位であり、それに次ぐのは代理公使で、代理公使の任務は公使と大体同じです。領事は、自国の通商促進や自国民の保護、その他の証明事務などの業務を行う国家機関です。

外務省には関係がないが、文化の紹介のために芸術家か学者が公式に派遣される文化使節もあります。

公式のパーティでは、席順は、正式には
A.大使は内閣閣僚よりも格が上
B.内閣閣僚は大使よりも格が上
のどちらでしょう?

答:A

 一般に特命全権大使を略して大使と呼んでいます。その国を代表する、外交官の一番上の位です。国会議員の奥様でしたか、日本大使館内で、置き忘れた物がありましたので、大使が立ち上がってそそくさと取りに行った、と言うことを聞いたことがあります。親しい間柄でしたら別におかしいことではありませんが、そうではない場合、なんとなく気にかかる行為です。

 正式の晩さん会では、1位は国家元首で、次いで皇族・王族、大使・公使、貴族であり、大臣よりも上席を与えられます。国会議員、国際機関とか大企業の代表者、学者、芸術家などにどの席を与えるべきかは主催者にとって頭痛の種です。外国人は優先的に扱われ、年令も考慮に入れる必要があります。ビュッフェ形式の立食パーティが流行るのは当然でしょう。

 立食パーティではいろいろな人と接触できる利点があります。日本人同士や知り合いの人とだけで固まるのはつまらないです。東南アジアのどの国の留学生達でしたか忘れましたが、仲間だけで固まって、溶け込もうとしていなかったのは日本人と同じだなあ、と思ったことがあります。日本人の中には徐福たちの血も混じっているでしょうから驚くには当りませんが。

 日本の茶会では、身分の高下に関係なく、出席者が平等に扱われるのはなかなかいいですね。浮世のことをしばらく忘れて命の洗濯をする機会でもあります。ああ疲れた、と言って帰るようでは、良い茶会とはいい難いように思います。


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Tracked on January 23, 2008 11:41 PM

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Tracked on January 29, 2008 02:18 AM

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Tracked on January 30, 2008 02:21 PM

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